SPFとPAの測定条件を扱った前回の記事では、店頭の数字が実験室のどんな前提で測られているのかを整理しました。ただ、あの記事では紫外線A波(UV-A)とB波(UV-B)そのものの数字までは書き切れませんでした。波長の境目は何nmなのか、地表にはどちらがどれだけ届くのか、季節や時刻でバランスはどう変わるのか、ガラスはどちらを通すのか、そして日本のPAは海外の基準と比べてどこに位置するのか、という点です。この記事はその続編です。環境省の紫外線環境保健マニュアル、気象庁とWHO(世界保健機関)の解説、欧州委員会の勧告、米国の連邦規則、査読論文を今回あらためて開き、確認できた数字だけを出典と条件つきで並べます。確認できなかった数字は、確認できなかったとそのまま書きます。
UV-AとUV-Bの境目は何nmなのでしょうか
境目は文書によって315nmと320nmの二通りがあり、どちらか一方だけが正解というわけではありません。nm(ナノメートル)は10億分の1メートルを表す長さの単位で、紫外線は波長の長い順にA、B、Cの3領域に分けられます。環境省の紫外線環境保健マニュアル2020は、UV-Cを100から280nm、UV-Bを280から315nm、UV-Aを315から400nmとしています。同じページには「UV-C、UV-B、UV-Aの分け方には、いくつかの定義があります」という注記があり、気象庁にならって280から315nmをUV-Bとした、と断っています。気象庁とWHOの解説ページも同じ315nmの区切りです。
一方、化粧品の世界では320nmの区切りが使われています。日本化粧品工業連合会(粧工連)の2012年11月14日付の文書は、UVBを「波長280から320nm程度」、UVAを「波長320から400nm程度」と説明しています。欧州委員会の勧告2006/647/ECは、UVBを290から320nm、UVAを320から400nmと定義しています。前回の記事でUV-Bを「おおよそ280から320nm」と書いたのは、この粧工連の表記に沿ったものでした。
| 文書 | UV-Bの範囲 | UV-Aの範囲 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 環境省マニュアル2020、気象庁、WHO | 280から315nm | 315から400nm | UV-Cは100から280nm。環境省は定義が複数あると注記 |
| 粧工連 2012年11月14日付文書 | 280から320nm程度 | 320から400nm程度 | SPFとPAの説明文のなかでの表記 |
| 欧州委員会勧告2006/647/EC | 290から320nm | 320から400nm | 勧告の定義条項(第2項)に記載 |
| 米国 21 CFR 201.327 | 試験光源は290nmから | UVA IIが320から340nm、UVA Iが340から400nm | SPF試験用光源の条件としてUV-Aを2つに分けて規定 |
5nmの違いは小さく見えますが、315から320nmの帯をどちらに数えるかで「UV-Bの量」も「UV-Aの量」も変わります。UV-AとUV-Bの数字を比べるときは、その文書が境目を315nmに置いているのか320nmに置いているのかを先に確認する必要があります。以下、この記事では出典ごとの表記をそのまま使います。
地表に届く紫外線のうちA波とB波はどんな割合なのでしょうか
WHOは、地表に届く紫外線のおよそ95%がUV-Aだと説明しています。残りの大半がUV-Bで、UV-Cは地表に届きません。気象庁の解説によると、UV-Cは成層圏とそれより上空のオゾンと酸素分子によって全て吸収され、UV-Bは成層圏オゾンにより大部分が吸収されて残りが地表に到達し、UV-Aは大気による吸収をあまり受けずに地表に到達します。
気象庁は別の分母でも数字を示しています。太陽からの日射全体に占める割合は、UV-Aが数%程度、UV-Bが0.1%程度です。WHOの95%は「地表に届く紫外線」を分母にした割合で、気象庁の数字は「日射全体」を分母にした割合なので、この2つは矛盾しません。ただしWHOのページには95%の算出根拠となる測定の引用がなく、季節や緯度で変わりうる概数として読むのが適切です。
UV-Bの量はオゾン層の状態に左右されます。環境省マニュアルは、他の条件が同じ場合、オゾン層の厚さが1%減ると地上の紫外線強度は約1.5%増えるといわれている、と記しています。原文が「といわれています」という伝聞の形で書かれている点は、そのままお伝えしておきます。
量の少ないB波がなぜSPFの主役になっているのでしょうか
赤くなる日焼け(サンバーン)を起こす力が波長によって大きく違い、短い波長のUV-Bの方が強く働くためです。国際照明委員会(CIE)は、波長ごとの人体への相対的な影響度を表す紅斑作用スペクトルを定義しています。気象庁が公表しているUVインデックスは、地上に届く紫外線の波長別の強さにこの影響度を掛け合わせて足し合わせたCIE紅斑紫外線強度(単位はmW/m2)を、25で割った値です。気象庁の観測は290から325nmの範囲を0.5nm刻みで測定し、それより長い波長域は324nmの観測値を使って推定する方式です。
SPFも同じく「赤み」を指標にした測定なので、結果として主にUV-Bの防御を表す値になります。粧工連の2012年の文書は、UVAを「サンバーンには影響度の少ない」紫外線と表現したうえで、皮膚への悪影響を防ぐにはUVAも防止する必要があると認識されるようになったため、1995年11月にUVA防止効果測定法基準を設定した、と経緯を説明しています。
影響度が小さいことは、無視してよいことを意味しません。WHOは、UV-Bは皮膚の表層より先には届かないのに対し、UV-Aは皮膚のより深い層まで届くと説明しています。環境省マニュアルも、UV-AによってもDNAの傷が生じていることが報告されており、UV-Aが安全な紫外線とは言えない、と明記しています。SPFが高いことはUV-Aへの備えを意味せず、UV-Aには別の物差しが必要だというのが、PAという表示が作られた理由です。
時間の数字も確認できました。環境省マニュアルによると、サンバーンは日光にあたって数時間後から始まり、8時間から24時間でピークとなり、2、3日で消えます。肌が黒くなるサンタンは数日してから現れ、数週間から数か月続きます。なお、UV-BはUV-Aの何倍サンバーンを起こしやすいのかという具体的な倍率は、今回開くことができた一次資料では数値として確認できなかったため、この記事には載せていません。
SPFの数字が2倍になると防げる量も2倍になるのでしょうか
サンバーンに対する倍率としては2倍ですが、吸収する紫外線の割合で見ると93%が97%になる違いです。欧州委員会の勧告2006/647/ECの前文は、SPF30の製品はSPF15の製品の2倍サンバーンを防ぐと述べたうえで、SPF15の製品はUVBの93%を、SPF30の製品は97%を吸収すると説明しています。同じ前文は、SPF50を超えても紫外線からの防御は実質的に増えないとも書いており、これを表示するSPFの種類を絞ってよい理由として挙げています。
| SPF | 吸収するUV-Bの割合 | 通過する割合(1をSPFで割った値) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 15 | 93% | 約6.7% | 欧州委員会勧告2006/647/EC 前文第20項 |
| 30 | 97% | 約3.3% | 同上 |
| 50 | 98% | 2.0% | SPFの定義からの本記事による計算。勧告には数値の記載なし |
この表は2通りに読めます。吸収率の列を見ると、SPF15から30への差は4ポイント、30から50への差は1ポイントしかありません。通過する割合の列を見ると、SPF15から30で半分になり、30から50でさらに4割ほど減ります。長時間屋外にいる場面で意味を持つのは後者の見方です。高いSPFほど通過する量は確かに減りますが、減り幅は数字の見た目ほど大きくはなく、しかもこの計算は規定量を塗った場合にだけ成り立ちます。
塗る量が半分になると防御はどのくらい落ちるのでしょうか
欧州委員会の勧告は、塗る量を半分にすると防御は最大で3分の2低下しうると書いています。前回の記事では、塗布量とSPFの定量関係は15名の小規模試験1本に頼る弱い根拠しか確認できなかった、と書きました。今回、公的文書のなかにこの点を数字で述べた箇所を見つけたので補足します。
勧告の前文第14項は次のように述べています。SPFが示す防御水準に達するには試験と同じ2mg/cm2を塗る必要があり、これは平均的な成人の全身でローション小さじ6杯、約36gにあたります。この量は消費者が通常塗る量より多く、少ない量を塗ると防御は不釣り合いに大きく下がります。例として、量を半分にすると防御は3分の2も低下することがある、と続きます。勧告は製品に「この量を減らすと防御水準は大きく下がります」という趣旨の警告を載せることも求めています。
ただし、この記述には限界があります。数字が出てくるのは勧告の前文であり、どの試験に基づくのかは文中に示されていません。表現も「最大で」「ことがある」という幅を持たせた書き方です。公的文書が示しているのは「半分塗れば半分守られる」という比例関係ではなく、それより大きく落ちる可能性があるという方向性であり、正確な換算式ではありません。米国食品医薬品局(FDA)の消費者向けページも、平均的な体格の人は全身に少なくとも1オンス、ショットグラス1杯分が必要で、少なくとも2時間ごとに塗り直すよう勧めています。同じページには、SPFは日光を浴びる時間ではなく浴びる量に関係する値だ、という説明もあります。
PA++++は海外のUV-A基準と比べてどの位置にあるのでしょうか
測定法が違うため単純な比較はできませんが、数字の上では、PA++++の下限であるUVAPF16は、EUがSPF50の製品に求めるUV-A防御とほぼ同じ水準です。EUの勧告は、UV-A防御指数をSPFの3分の1以上にすること、臨界波長を370nm以上にすることを最低条件として勧めています。SPF50の3分の1は約16.7なので、PA++++の下限16はそのすぐ下にあたります。この16.7は本記事の割り算であり、公的文書に書かれた比較ではありません。
| 地域と根拠文書 | UV-Aの指標 | 基準 | SPF側の主な条件 |
|---|---|---|---|
| 日本 粧工連UVA防止効果測定法基準2012年改定版 | UVAPF(ISO 24442、人の皮膚での測定) | 2以上でPA+、4以上でPA++、8以上でPA+++、16以上でPA++++ | 平均50以上かつ95%信頼限界の下限51.0以上でSPF50+ |
| EU 欧州委員会勧告2006/647/EC | UV-A防御指数(持続型即時黒化法)と臨界波長 | SPFの3分の1以上、かつ臨界波長370nm以上 | 最低SPF6。実測60以上で50+と表示。低、中、高、非常に高の4区分を併記 |
| 米国 21 CFR 201.327 | 臨界波長(PMMA樹脂板に0.75mg/cm2を塗って測る試験) | 平均370nm以上でBroad Spectrumと表示可 | SPF試験は2mg/cm2、有効な結果10例以上 |
臨界波長とは、290nmから吸光度曲線を積分していき、290から400nm全体の90%に達する波長のことです。値が大きいほど、長い波長のUV-Aまで吸収が伸びていることを示します。米国では、Broad SpectrumでSPF15以上の製品だけが皮膚がんと早期の皮膚老化のリスクに関する所定の文言を表示でき、それ以外の製品には、サンバーンの防止に役立つことしか示されていないという趣旨の警告表示が求められます。
EUの勧告には興味深い一文があります。UV-A防御の測定には「日本の業界が適用している」持続型即時黒化法を用いる、と前文第16項に書かれており、日本の測定法がEUの基準の土台になったことが分かります。勧告はまた、100%の防御を思わせるsunblockやtotal protection、塗り直し不要を思わせるall day preventionといった表現をすべきでないとしています。日本のPAはUV-A防御の絶対値を段階で示し、EUはSPFとの釣り合いを求め、米国は吸収が長波長側まで伸びているかを見るという違いがあります。
比較の限界も書いておきます。EUの文書は加盟国に宛てた2006年の勧告であり、その後の運用の変化は今回確認していません。米国の条文は政府刊行物サイトに掲載された2012年版の連邦規則集で確認したもので、現行の運用との差も未確認です。日本の区分は人の皮膚での測定、米国の基準は樹脂板での測定なので、PA++++の製品が必ず臨界波長370nmを満たすとも、その逆とも言えません。
季節や時間帯でA波とB波のバランスは変わるのでしょうか
変わります。中部日本の測定では、UV-AとUV-Bの量の比は夏(7月から9月)に20.4から23.2、冬(12月と1月)に53.5から56.5と報告されており、冬はUV-Bの方が大きく減ります。この数字は、Nishimuraらが2020年に学術誌Photochemistry and Photobiologyに発表した論文に記載されています。奈良県橿原市(北緯34.5度)で2018年9月と2019年12月に屋外実験を行った研究で、比の値そのものは中部日本の太陽光スペクトルを測った先行研究からの引用です。著者らは夏と冬で2.3倍以上の差があると述べています。
この結果は環境省マニュアルの数字を読むときの補助線になります。マニュアルは、4月から9月に1年間のおよそ70から80%、夏の午前10時から午後2時に1日のおよそ70%、冬の同じ時間帯には80から85%の紫外線が集中すると説明しています。ただし根拠の図の縦軸はUV-B紫外線量(kJ/m2)であり、これはUV-Bについての数字です。冬に大きく減るのは主にUV-Bであり、紫外線全体に占めるUV-Aの比重は冬の方が高くなります。比が上がることはUV-Aの絶対量が冬に増えることを意味しません。UV-Aの絶対量が季節でどれだけ変わるかは、今回の一次資料では確認できませんでした。
地域差と強さの目安も確認しておきます。環境省マニュアルによると、年間の紫外線量は沖縄と北海道で2倍程度の違いがあります。UVインデックスは1から2が「弱い」、3から5が「中程度」、6から7が「強い」、8から10が「非常に強い」、11以上が「極端に強い」と分類され、比較的低い札幌でも夏の昼頃は8から10に達します。気象庁は、日本ではUVインデックス12や13といった値がしばしば観測されるため、実情に合わせて13+まで表示しています。
雲、日陰、標高、地面の反射で紫外線はどのくらい変わるのでしょうか
環境省マニュアルの数字では、薄い雲はUV-Bの80から90%を通し、日陰でも日向の約50%が届き、標高が1000m上がるごとに10から12%増え、新雪は80%を反射します。WHOのページにも同じ項目の数字があるので、並べて比較します。
| 条件 | 環境省マニュアル2020 | WHO |
|---|---|---|
| 薄い雲 | UV-Bの80から90%が透過 | 今回のページでは数値を確認できず |
| 標高1000mの上昇 | 10から12%増加 | 約10%増加 |
| 新雪の反射 | 80% | 最大80%、ばく露はほぼ2倍 |
| 砂浜の反射 | 10から25% | 乾いた砂浜で約15% |
| 水面の反射 | 10から20% | 草地、土、水は10%未満、海の泡は約25% |
| コンクリートとアスファルトの反射 | 10% | 記載なし |
| 日陰 | 日向の約50% | 記載なし |
| 屋内で働く人の年間ばく露 | 屋外で働く人の10から20% | 記載なし |
水面の反射のように、環境省とWHOで数字が食い違う項目もあります。測定条件の違いによるものと考えられますが、どちらの文書もこの数字の元になった測定を明示していません。同じ項目でも機関によって数字が少しずつ違うため、1つの数字を絶対視せず幅で捉えるのが妥当です。環境省マニュアルは眼についても数字を挙げており、帽子の着用で眼のばく露は20%程度減り、紫外線防止効果のあるサングラスや眼鏡を適切に使うと最大で90%カットできるとしています。
窓ガラスや車のガラスはA波を通すのでしょうか
一般的なガラスはUV-Bの大部分を遮りますが、UV-Aをどれだけ通すかはガラスの種類によって大きく違います。Tuchindaらが2006年に米国皮膚科学会誌(Journal of the American Academy of Dermatology)に発表したレビューは、窓ガラスはUVBを遮り、UVAと可視光を透過すると要約しています。同じ研究グループのAlmutawaらによる2013年のレビューは、市販の建築用ガラスと自動車用ガラスはどの種類もUVBの大部分を遮ること、UV-Aの防御は合わせガラスの方が強化ガラスより優れていること、窓用フィルムで防御を高められることを報告しています。
車については実測の数字があります。Boxer Wachlerが2016年に医学誌JAMA Ophthalmologyに発表した横断研究は、米国ロサンゼルスで15メーカー29台(1990年から2014年の年式)のガラス越しのUV-Aを測定しました。フロントガラスのUV-A遮断率は平均96%(範囲95から98%、95%信頼区間95.7から96.3%)でした。運転席側のサイドガラスは平均71%(範囲44から96%、95%信頼区間66.4から75.6%)で、差は25ポイント(95%信頼区間21から30、P値0.001未満)でした。サイドガラスで90%を超える高い遮断率を示したのは29台中4台、13.8%にとどまりました。
この研究は単著で、1都市の29台を1時点で測ったものです。日本で販売されている車に同じ数字が当てはまるかは確認できていません。住宅の窓ガラスについても、日本の公的機関が透過率を数字で示した資料は今回見つけられませんでした。環境省マニュアルにあるのは、一般にガラスの眼鏡はUV-Bをカットするという記述までです。「ガラス越しなら紫外線は届かない」という理解はUV-Bについてはおおむね当たっていますが、UV-Aについては当てはまらない場合があります。
日焼け止めの成分によってA波とB波の守備範囲は違うのでしょうか
違います。環境省マニュアルは紫外線防止剤を紫外線吸収剤と紫外線散乱剤に分け、吸収剤には特異的な吸収波長があり、UV-B吸収剤とUV-A吸収剤に分かれると説明しています。散乱剤については、酸化亜鉛はよりUV-Aを、酸化チタンはよりUV-Bを防ぐと整理しています。どの成分がどの波長を何%防ぐかという数値はマニュアルには載っておらず、製品全体としての結果がSPFとPAに集約される仕組みです。
混同しやすい点を1つ補足します。日焼け止めに配合される酸化亜鉛は皮膚の上で紫外線を吸収、散乱する粉末であり、食事やサプリメントで摂る栄養素としての亜鉛とは役割がまったく別です。栄養素としての亜鉛は亜鉛の過不足とエビデンスの記事で扱っています。成分表示の読み方は成分の深掘り記事を参照してください。
サプリメントや美容機器は日焼け止めの代わりになるのでしょうか
なりません。SPFとPAは皮膚に塗った製品を対象にした測定法(ISO 24444とISO 24442)から出てくる値であり、飲むものや光を当てる機器にはこの測定がそもそも適用されません。米国ではFDAが2018年5月18日付で、カプセル製品Sunergeticを販売するSunergized社に警告書を送っています。FDAは、販売サイトに掲載された「基本的に飲む日焼け止めです」といった趣旨の文言を根拠に、この製品を未承認の新薬にあたると判断しました。業界紙NutraIngredientsの2018年5月30日付の記事は、FDAが同時期に複数の企業へ同種の警告書を送ったと報じています。この記事は一次資料ではないため、社数などの詳細はここでは引用しません。
私たち自身の立場も書いておきます。このサイトを運営するEvalyが主に扱っているのはサプリメントとLED美容機器で、いずれもSPFやPAの測定値を持ちません。飲むものや光を当てる機器にSPFやPAという物差しは存在せず、紫外線を防ぐ目的でこれらを日焼け止めの代わりに使うことはできません。経口成分と紫外線に関する個別の臨床試験は、この記事では評価していません。日本の制度上、食品が表示できる機能の範囲は栄養機能食品の制度の記事で、美容機器の表現の範囲は美顔器と薬機法の記事で整理しています。成分ごとの根拠の強さはNMNのエビデンスレビューや経口と外用コラーゲンの比較記事でも同じ基準で評価しています。
光の機器について波長の面から1点だけ補足します。環境省マニュアルの図では、紫外線は400nmまで、可視光線は400から770nmとされています。目に赤く見える光は可視光線の領域にあるため、定義上は紫外線には含まれません。ただし、個々の機器が実際にどの波長を出しているかは製品の仕様で確認すべき事項であり、赤色LEDの具体的な波長の数字は今回の確認範囲に入っていないためここには書きません。赤色光に関する根拠の範囲は赤色LEDと頭皮のエビデンス記事にまとめています。
この記事の論拠はどのくらい確かなのでしょうか
一次文書の原文で確認できた強い論拠と、単一の研究や本記事の計算に頼る弱い論拠が混在しています。読者がそのまま確認できるよう、論拠ごとに自己評価を表にしました。
| 論拠 | 根拠の種類 | 強さの評価 |
|---|---|---|
| UV-AとUV-Bの境目には315nmと320nmの二通りがある | 環境省、気象庁、WHO、粧工連、EU勧告の原文を直接比較 | 強い |
| 地表に届く紫外線の約95%がUV-A | WHOの解説ページ。算出根拠となる測定の引用なし | 中程度 |
| 日射に占める割合はUV-Aが数%程度、UV-Bが0.1%程度 | 気象庁の解説ページ。概数としての記載 | 強い |
| SPF15で93%、SPF30で97%を吸収 | 欧州委員会勧告の前文 | 強い |
| SPF50で98%を吸収 | 定義からの本記事による算術。規定量を塗った場合の理論値 | 中程度 |
| 量を半分にすると防御は最大3分の2低下 | 欧州委員会勧告の前文にある例示。根拠となる試験の引用なし | 弱い |
| PA++++の下限はEUの3分の1基準とほぼ同水準 | 本記事による割り算。測定法が異なり直接比較はできない | 弱い |
| UV-AとUV-Bの比は夏20.4から23.2、冬53.5から56.5 | 査読論文1本が先行測定を引用(孫引き)。地点は中部日本のみ | 中程度 |
| 4月から9月に年間の70から80%、夏の10時から14時に1日の約70% | 環境省マニュアル(気象庁データ)。UV-B量の数字でありUV-Aには直接当てはめられない | 強い |
| 反射率、標高、日陰の数字 | 環境省マニュアルとWHO。機関によって数値に差があり、元の測定は不明示 | 中程度 |
| ガラスはUV-Bの大部分を遮りUV-Aを通す | 査読レビュー2本。確認したのは抄録のみで本文は未読 | 中程度 |
| フロントガラス96%、サイドガラス71% | 単著の横断研究1本。米国ロサンゼルスの29台 | 弱い(日本の車への一般化について) |
| 酸化亜鉛はよりUV-A、酸化チタンはよりUV-Bを防ぐ | 環境省マニュアルの表。数値の記載なし | 中程度 |
| 経口製品は日焼け止めの代わりにならない | FDAの警告書1通(一次資料)と業界紙の報道。個別成分の試験は未評価 | 中程度 |
| UV-BはUV-Aの何倍サンバーンを起こしやすいか | 一次資料で数値を確認できず、記載を見送り | 評価不能 |
特に弱いのは、読者の関心が高いはずの2点です。塗る量と防御の関係は、公的文書に数字があるとはいえ根拠の試験が示されていません。車のガラスの数字は、1人の研究者が米国の29台を測った結果です。この2つの数字を見かけたときは、断定ではなく目安として扱うことをお勧めします。ラベルの数字を条件つきで読むという姿勢は、サプリメントの用量表示の読み方の記事やナイアシンアミドの臨床エビデンスの記事とも共通しています。
よくある質問
UV-Aが95%を占めるのに、なぜSPFはUV-B中心の指標なのですか
SPFは翌日のかすかな赤みを指標にした測定で、赤みを起こす力は短い波長のUV-Bの方が強いためです。量の多さと赤みへの影響度は別の話で、UVインデックスも同じ紅斑作用スペクトルで重みづけされています。UV-Aの防御はPAという別の表示で確認します。
SPF50はSPF30よりどのくらい多く防ぐのですか
規定量を塗った場合の理論値では、吸収率は97%から98%へ1ポイント上がり、通過する量は約3.3%から2.0%へ減ります。欧州委員会の勧告は、SPF50を超えても防御は実質的に増えないと述べています。どちらの数字も2mg/cm2を塗ったときの話で、量が少なければ成り立ちません。
冬はA波の対策だけ考えればよいのですか
そうとは言い切れません。中部日本の測定では冬にUV-Aの比重が高まることが示されていますが、UV-Bがゼロになるわけではありません。環境省マニュアルは、雪の反射率が80%に達することも指摘しています。比の数字だけで対策を決めるのではなく、その日のUVインデックスと過ごす場所を合わせて判断するのが現実的です。
室内や車内にいれば日焼け止めは要らないのですか
一概には言えません。ガラスはUV-Bの大部分を遮りますが、UV-Aの透過はガラスの種類によって大きく違います。米国の29台の実測では、サイドガラスのUV-A遮断率は44から96%と幅がありました。環境省マニュアルは、屋内で働く人の年間の紫外線ばく露は屋外で働く人の10から20%としています。窓際や車内で長時間過ごすかどうかが判断の分かれ目になります。
海外製品のBroad Spectrum表示はPAと同じ意味ですか
同じではありません。米国のBroad Spectrumは、樹脂板に塗った試料の臨界波長が平均370nm以上であることを示す合否の表示です。日本のPAは、人の皮膚で測ったUVAPFを4段階に分けた表示です。見ているものが違うため、一方から他方を換算することはできません。
赤色LEDの光に紫外線は含まれますか
波長の定義の上では含まれません。環境省マニュアルの図では紫外線は400nmまで、可視光線は400から770nmとされており、目に赤く見える光は可視光線の領域です。ただし実際の発光スペクトルは機器ごとに異なるので、製品の仕様書で波長を確認してください。
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出典
- 環境省 紫外線環境保健マニュアル2020(2020年3月改訂版)。波長の定義と注記、雲と反射と標高の数字、時間帯別と季節別のUV-B量、UVインデックスの式と分類、オゾン層、サンバーンとサンタンの時間経過、紫外線防止剤の分類。https://www.env.go.jp/content/900410651.pdf
- 気象庁 紫外線とは。UV-A、UV-B、UV-Cの波長、日射に占める割合、大気による吸収。https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-40uv.html
- 気象庁 UVインデックスとは。CIE作用スペクトル、25mW/m2での指標化、観測波長範囲、13+までの表示。https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/uvhp/3-51uvindex_define.html
- World Health Organization. Radiation: Ultraviolet (UV) radiation(質問と回答のページ)。UVAが地表の紫外線の約95%、皮膚への到達の深さ、標高と反射の数字。https://www.who.int/news-room/questions-and-answers/item/radiation-ultraviolet-(uv)
- European Commission. Commission Recommendation of 22 September 2006 on the efficacy of sunscreen products and the claims made relating thereto (2006/647/EC)。Official Journal L 265、2006年9月26日、39から43ページ。波長の定義、SPFと吸収率、塗布量と36g、UV-A防御の最低条件、表示区分。https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32006H0647
- U.S. Code of Federal Regulations, 21 CFR 201.327(2012年版、米国政府出版局掲載)。Broad Spectrum試験と臨界波長370nm、SPF試験の塗布量、光源のUVA IとUVA IIの条件、警告表示。https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2012-title21-vol4/xml/CFR-2012-title21-vol4-sec201-327.xml
- U.S. Food and Drug Administration. Sunscreen: How to Help Protect Your Skin from the Sun(2026年9月10日時点の内容)。塗布量1オンス、2時間ごとの塗り直し、SPFと時間の関係。https://www.fda.gov/drugs/understanding-over-counter-medicines/sunscreen-how-help-protect-your-skin-sun
- U.S. Food and Drug Administration. Warning Letter, Sunergized LLC、2018年5月18日。https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/sunergized-llc-548703-05182018
- 日本化粧品工業連合会 報道発表「紫外線防止効果測定法基準の改定とそれに伴うPA++++表示の追加」2012年11月14日。UVBとUVAの波長表記、UVA基準設定の経緯、PA区分、SPF50+の条件。https://www.jcia.org/user/common/download/approach/news_release/JCIA_release20121114-UV-PF.pdf
- Nishimura K, Ikehata H, Douki T, ほか. Seasonal differences in the UVA/UVB ratio of natural sunlight influence the efficiency of the photoisomerization of (6-4) photoproducts into their Dewar valence isomers. Photochemistry and Photobiology. 2020年、97巻3号、582から588ページ。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8246833/
- Boxer Wachler B. Assessment of levels of ultraviolet A light protection in automobile windshields and side windows. JAMA Ophthalmology. 2016年、134巻7号、772から775ページ。抄録は米国国立医学図書館のデータベースで確認。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27258091/
- Tuchinda C, Srivannaboon S, Lim HW. Photoprotection by window glass, automobile glass, and sunglasses. Journal of the American Academy of Dermatology. 2006年、54巻5号、845から854ページ。抄録のみ確認。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16635665/
- Almutawa F, Vandal R, Wang SQ, Lim HW. Current status of photoprotection by window glass, automobile glass, window films, and sunglasses. Photodermatology, Photoimmunology and Photomedicine. 2013年、29巻2号、65から72ページ。抄録のみ確認。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23458389/
- NutraIngredients-USA、2018年5月30日付記事(業界紙であり一次資料ではありません。FDAの警告書送付の報道として参照)。https://www.nutraingredients.com/Article/2018/05/30/Sunscreen-supplements-Science-not-strong-enough-to-use-supplements-in-lieu-of-topicals/
本記事は情報提供を目的としたものであり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。肌の状態に不安がある場合は、皮膚科専門医にご相談ください。