Evaly の NMN 12000mg レスベラトロール配合サプリメント

NMN は本当に効くのか?ヒト試験8件のメタ解析と、日本の法的な位置づけから読み解く

NMN の血中 NAD 上昇は複数の試験で一致しています。一方で血糖値や脂質への効果は、8件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析で確認されていません。日本での法的な区分と合わせて、公表資料だけをもとに整理します。

Evaly の NMN 12000mg レスベラトロール配合サプリメント

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サイエンス · 12分で読める

Evaly 創業者 Tashiro。公表された査読付き論文と厚生労働省・消費者庁の一次資料のみをもとに執筆しています。2026年8月15日公開。

Evaly の NMN 12000mg レスベラトロール配合サプリメントのボトルとカプセル

先に結論をお伝えします。

  • NMN を摂ると血中の NAD 濃度が上がることは、複数の試験で一貫して確認されています。
  • 歩行速度や下肢の機能については、250mg/日・12週間で肯定的な結果が繰り返し出ています。ただし試験の規模はいずれも小さいものです。
  • 血糖値、HbA1c、コレステロール、中性脂肪については、8件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析で有意な効果は確認されていません
  • 日本では NMN は 2020年3月31日付で「非医薬品」に区分され、食品として扱われています。医薬品ではありません。

NMN とは何で、体の中で何をしているのですか?

NMN はニコチンアミドモノヌクレオチドの略で、体内で NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換される物質です。NAD は細胞がエネルギーを取り出す反応に不可欠な補酵素で、ヒトのほぼすべての細胞に存在します。

NAD の血中濃度は加齢とともに低下することが観察されており、この低下を補う目的で NMN の摂取が研究されてきました。ここまでは生化学の教科書レベルの話で、争いはありません。議論があるのは次の一点です。NAD 濃度が上がったとして、それが体感できる変化につながるのか、という点です。

NMN は人工的に作られた特殊な物質ではありません。母乳、枝豆、ブロッコリー、アボカド、トマトなどの食品に含まれており、体内でもビタミン B3(ニコチンアミド)を材料として作られています。この「食品に含まれる」という事実が、後述する日本での法的な区分に直接影響しています。

日本では NMN はどう扱われているのですか?

NMN は 2020年3月31日付の厚生労働省通知(薬生監麻発第331009号)により、食薬区分の「非医薬品リスト」に追加されました。つまり日本では NMN は医薬品ではなく、食品として販売できる成分です。

ただし「食品として売れる」ことと「効果を表示してよい」ことは別の話です。ここが最も誤解の多いところなので、区分を整理します。

日本の食品表示区分と、NMN 製品が名乗れる範囲
区分 届出・審査 機能を表示できるか NMN の場合
一般食品 不要 できません 大半の NMN 製品がここに該当します
栄養機能食品 不要(自己認証) 国が定めたビタミン・ミネラル等についてのみ表示できます NMN 自体の機能は表示できません。配合されたビタミン等について表示している製品があります
機能性表示食品 消費者庁への届出が必要 届け出た範囲でのみ表示できます 2023年から2025年までに13件が受理されています
特定保健用食品(トクホ) 国の個別審査 審査を受けた範囲で表示できます NMN での取得例は確認されていません

受理された13件の機能性表示食品が届け出ている内容は、大きく二つに絞られます。中高年の歩行能力の維持に関するものと、肌の水分・弾力に関するものです。裏を返せば、それ以外の表現は、届出をした製品であっても表示できません。

誠実にお伝えしておくべきことがあります。当店で取り扱っている NMN 製品は栄養機能食品であり、機能性表示食品ではありません。したがって当店は、NMN について歩行能力や肌に関する機能を表示することはできませんし、この記事でもしていません。この記事は、公表されている研究を紹介する情報提供です。

ヒト試験は実際に何を示したのですか?

NMN のヒト試験は数が限られており、規模も小さいのが実情です。よく引用される主要な試験を、条件と結果を省略せずに並べます。

NMN の主なランダム化二重盲検プラセボ対照試験
研究 対象 用量・期間 結果
Igarashi ら(2022, npj Aging) 65歳以上の健康な男性 250mg/日・12週間 血中 NAD が有意に上昇。歩行速度と左手の握力が改善。右手の握力は改善しませんでした
Kim ら(2022, Nutrients) 高齢者 108名 250mg/日・12週間(服用時刻で4群) 午後に摂取した群で下肢機能の改善と眠気の軽減が見られました
Katayoshi ら(2023, Scientific Reports) 健康な中年 36名 125mg × 2回/日・12週間 血中ニコチンアミドは有意に上昇。動脈の硬さの指標は低下傾向にとどまり、有意差は出ませんでした
2024年の試験(PubMed 38789831) 高齢者 60名 250mg/日・12週間 4m 歩行時間がプラセボ群より有意に短縮。プラセボ群は低下したのに対し、NMN 群は維持されました

Igarashi らの試験については、引用される際にほぼ必ず省略される事情があります。この試験では、製品供給業者の手違いにより、途中で各群11名ずつが誤った試験品を受け取りました。その結果、最終的に解析できたのは20名分のデータのみです。結論を否定するものではありませんが、この規模で「効果が証明された」と表現するのは適切ではありません。

逆に、何が示されていないのですか?

2024年に発表された系統的レビューとメタ解析が、この問いに最も明確に答えています。2021年から2023年までのランダム化比較試験8件、参加者合計342名、用量250mg から 2000mg/日、期間14日から12週間をまとめたものです。

メタ解析(8件のRCT、342名)でのアウトカム別の結論
指標 結論
血中 NAD 濃度 8件中5件で上昇が報告されています
空腹時血糖 有意な効果は認められませんでした
HbA1c 有意な効果は認められませんでした(試験間のばらつきが大きい)
空腹時インスリン 有意な効果は認められませんでした(試験間のばらつきが大きい)
HOMA-IR(インスリン抵抗性) 0.27 の低下(95%信頼区間 −0.01〜0.55、p = 0.06)。1件を除外すると有意でなくなりました
総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪 いずれも有意な効果は認められませんでした

つまり、NAD 濃度が上がることと、代謝指標が改善することは、現時点では別の話です。血中の数値が動いたからといって、健康診断の数字が動くという根拠にはなっていません。

著者ら自身が限界として挙げているのは、試験数が少ないこと、各試験の規模が小さいこと、データ不足のため出版バイアスを検討できなかったこと、用量と期間が試験ごとにばらついていることです。さらに、対象者の大半は血糖や脂質に問題のない一般の人であり、糖尿病予備群を組み入れた試験は8件中1件のみでした。

どのくらいの量が使われているのですか?

ヒト試験で最も多く使われている用量は 250mg/日です。メタ解析に含まれた8件のうち4件がこの用量を採用しています。検討された範囲全体では 250mg から 2000mg/日でした。

注意していただきたいのは、用量が多いほど良いという結果は出ていない、という点です。高用量を検討した試験は含まれていますが、用量と効果の間にきれいな比例関係が示されたわけではありません。製品を選ぶ際に mg 数だけを比較する意味は、現在の根拠からは限定的です。

製品表示の読み方にも一つ注意点があります。「NMN 12000mg」といった表示は、多くの場合ボトル全体に含まれる総量であって、1日あたりの摂取量ではありません。1日分の量は、必ず1回あたりの粒数と含有量の欄で確認してください。

いつ飲むのが良いとされているのですか?

服用のタイミングを直接比較した試験は、Kim ら(2022)の1件です。108名を4群に分け、午前と午後で摂取時刻を変えて12週間比較したところ、午後に摂取した群で下肢機能の改善と眠気の軽減が見られました。

ただしこれは1件の試験の結果です。追試による確認は現時点でなされていませんので、「午後が正解」と断定できる段階にはありません。

安全性について何が分かっているのですか?

メタ解析に含まれた8件の試験では、重篤な有害事象は報告されていません。BMI、血圧、肝機能の指標(AST、ALT、ALP)についても、プラセボ群との間に統計的に有意な差は認められませんでした。

一方で、これらの試験期間は最長でも12週間です。年単位で摂取し続けた場合に何が起きるかを検証したヒト試験は、公表されている範囲では見当たりません。長期の安全性は「問題が報告されていない」のであって、「確認されている」のではありません。

※ 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、服薬中の方は、摂取前に医師または薬剤師にご相談ください。本記事は情報提供を目的としたものであり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。

この研究結果は誰に当てはまるのですか?

ここは正確に押さえておく価値があります。主要な試験の対象は、65歳以上の健康な男性、あるいは高齢者、あるいは健康な中年層でした。血糖や脂質に問題のない人が大半です。

したがって、20代や30代の人が同じ結果を得られるかどうかは、これらの試験からは分かりません。若年層を対象とした試験がないためです。同様に、特定の疾患を持つ方への効果も検証されていません。

年齢を重ねてからの歩行機能の維持に関心がある方にとっては、現時点で最も根拠のそろっている領域だと言えます。それ以外の目的については、根拠はまだ薄い、というのが公平な要約です。

よく見かける宣伝表現は、根拠とどう対応していますか?

NMN 製品の広告でよく使われる表現を、ここまでに紹介した研究と照らし合わせます。売る側が自分の扱う商品について書くことなので、できるだけ厳しめに整理しました。

広告表現と、対応する研究上の裏づけ
よく見る表現 対応する根拠 評価
「NAD が増える」 8件中5件の試験で血中 NAD の上昇が報告されています 裏づけがあります
「歩行速度の維持に」 250mg/日・12週間の試験が複数。機能性表示食品として届出済みの製品もあります 限定的な裏づけがあります。届出をしていない製品は表示できません
「若返る」「老化が止まる」 該当する試験がありません 裏づけがありません
「血糖値・コレステロールに」 メタ解析でいずれも有意差なし 現時点では否定的です
「高配合ほど効く」 用量と効果の比例関係を示す一貫した根拠がありません 裏づけがありません
「医師も推奨」 医薬品等適正広告基準 第4の10 により、医療関係者による推奨表現は事実であっても認められません 表示できません

最後の行は根拠の問題ではなく、ルールの問題です。医薬品等適正広告基準は、医療関係者が製品を推薦する表現について、たとえ事実であったとしても認めないと定めています。この表現を使っている広告を見かけたら、その一点だけでも判断材料になります。

この記事の各主張は、どのくらい確かなのですか?

根拠の強さは主張ごとに違います。ひとまとめに「科学的根拠あり」と書くのは不誠実だと考えますので、分けて示します。

本記事の主張と、その根拠の強さ
主張 根拠の種類 強さ
NMN の摂取で血中 NAD が上がる 複数のランダム化比較試験で一致 強い
日本で NMN は非医薬品である 厚生労働省通知という一次資料 確定しています
血糖・脂質への効果は確認されていない 8件をまとめたメタ解析 強い(否定側の根拠として)
歩行機能の維持に関わる可能性 小規模試験が複数、うち1件は解析対象20名 弱いが一貫しています
午後の摂取が望ましい可能性 単一の試験のみ、追試なし 弱い
長期摂取の安全性 12週間を超える試験が存在しません 不明です

購入前に確認したい5つのこと

成分そのものの話とは別に、製品を選ぶ段階で確認できることがあります。どれも表示ラベルとメーカーの公開情報だけで判断できる項目です。

  1. 1日あたりの摂取量。ボトル総量ではなく、1回の粒数と1粒あたりの含有量を見てください。試験で最も使われているのは 250mg/日です。
  2. 表示区分。機能性表示食品なら消費者庁の届出データベースで届出番号と根拠資料を誰でも確認できます。一般食品や栄養機能食品であれば、NMN の機能は表示されていないはずです。
  3. 製造元と製造国。GMP 認定工場かどうかは、品質管理の体制を示す一つの目安になります。
  4. 純度の表示根拠。純度99%以上という表示があるなら、それが第三者機関の分析によるものかを確認してください。
  5. 誇大な表現の有無。上の表にある「若返る」「医師も推奨」といった表現を使っている時点で、その製品の情報全体を慎重に見る理由になります。

よくあるご質問

NMN はどのくらいで効果が出ますか?

肯定的な結果が出ているヒト試験は、いずれも12週間の摂取期間で評価されています。Igarashi らの試験では6週目の時点でも歩行速度の改善が観察されていますが、数日から数週間で変化を確認した試験はありません。

NMN は医薬品ですか?

いいえ。日本では2020年3月31日付の厚生労働省通知により、NMN は非医薬品として食薬区分に位置づけられています。食品成分として扱われます。

「機能性表示食品」の NMN と、そうでない NMN は中身が違うのですか?

成分そのものが必ず違うという意味ではありません。違うのは、消費者庁に届出を行い、届け出た範囲で機能を表示する資格を得ているかどうかです。届出には根拠資料の提出が必要ですので、その手続きを経ているかどうかの差になります。

NMN で血糖値やコレステロールは下がりますか?

8件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析では、空腹時血糖、HbA1c、インスリン、総コレステロール、LDL、HDL、中性脂肪のいずれについても、有意な効果は確認されていません。

用量は多いほうが良いのですか?

そうした結果は出ていません。検討された用量は250mg から 2000mg/日と幅がありますが、用量に比例して効果が大きくなることを示す一貫した根拠はありません。最も多く使われているのは 250mg/日です。

長期間飲み続けても大丈夫ですか?

12週間までの試験では重篤な有害事象は報告されていません。ただし、それより長い期間を検証したヒト試験は公表されていないため、長期摂取の安全性については確立した根拠がないのが現状です。

出典

  1. Igarashi M, et al. Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older men. npj Aging, 2022. nature.com
  2. Kim M, et al. Effect of 12-Week Intake of Nicotinamide Mononucleotide on Sleep Quality, Fatigue, and Physical Performance in Older Japanese Adults. Nutrients, 2022;14(4):755. mdpi.com
  3. Katayoshi T, et al. Nicotinamide adenine dinucleotide metabolism and arterial stiffness after long-term nicotinamide mononucleotide supplementation. Scientific Reports, 2023. nature.com
  4. Ingestion of β-nicotinamide mononucleotide increased blood NAD levels, maintained walking speed, and improved sleep quality in older adults. 2024. PubMed 38789831
  5. Effects of Nicotinamide Mononucleotide on Glucose and Lipid Metabolism in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomised Controlled Trials. 2024. PMC11557618
  6. 厚生労働省「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」令和2年3月31日 薬生監麻発第331009号. mhlw.go.jp
  7. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報:ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN). hfnet.nibn.go.jp

次のサイエンスガイドをお届けします

この記事で取り上げた成分

NMN 12000mg レスベラトロール配合

日本製・高純度99.9%・GMP 認定工場・耐酸性カプセル。栄養機能食品です。1日あたりの摂取目安量は製品表示をご確認ください。

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